FBCアセアン2025ものづくり商談会
今年も製造業に特化した展示商談会「FBCアセアン2025ものづくり商談会」がバンコクのBITEC(バンコク国際展示場)で開催されます。ASEAN地域で事業展開する製造業企業にとって欠かせないイベントとなったFBCの魅力、そして今年のFBCのポイントについて、主催者であるNCネットワークアジアの小暮マネージングダイレクターに聞いてみました。

▶ FBCの概要を教えてください
この商談会は、製造企業および関連企業が現地調達や販路拡大を目的として参加する業界特化型のイベントで、今年で12年目を迎えます。主に在タイの日系企業とタイのローカル企業が出展します。
近年、タイでは日系企業から「ローカル市場を開拓したい」という声が高まり、これに対応するため、2022年からInforma Markets、タイサブコン協会、タイ投資委員会(BOI)と連携し、FBCとの併催形式を取るようになりました。この併催により、日系企業はローカル企業とのマッチングがしやすくなり、ローカル企業側も日系企業との技術連携を求めているため、双方にとって有益な関係が築かれています。
▶ バンコク会場の概要は
バンコク会場は、以下の4つのイベントで構成されています。
・FBCアセアン(主催:NCネットワークグループ)……日系の中小受託加工業を中心としたエリアで、日本の製造関連企業が多く出展します。
・INTERMACH(主催:Informa Markets)……ソリューション関連企業が出展する展示会で、ワールドワイドに開催される生産設備を中心としたイベントです。
・タイサブコン(主催:タイサブコン協会)……タイの中小受託加工業が集結するエリアで、タイサブコン協会に属する優良ローカル企業が多数出展します。
・バイヤービレッジ(主催:タイ投資委員会)……50社以上の大手製造業バイヤーが、調達を目的に出展するエリアです。
▶ 今年のFBCの見通しは
今年も昨年に引き続き、メイン会場の中心エリアを確保することができました。FBCが現在の形式で開催されるようになって2年が経ちます。初年度、FBCは会場の奥に配置されていたため、全体の来場者数が約5万人に達しても、FBCエリアに足を運ぶ人は限られていました。しかし昨年、インターマック内のメインストリート近くへ移動したことで、会場の中心に近いエリアでの開催が実現し、FBCエリアを訪れる人の数は大幅に増加しました。その結果、出展企業の皆様の積極的な商談活動も相まって、「20社以上の新規開拓ができた」「インドの大手バイヤーと商談が成立した」「日系ティア1企業から引き合いがあった」といった成果の声を直接いただくことができました。
また、昨年はメインストリートから1つ奥に位置していましたが、今年はメインストリート沿いをしっかり確保しました。これにより、昨年以上にFBCエリアを訪れる人が増えると予想されます。
さらに、コスト面でも大きなメリットがあります。インターマックは会場内で最も良いゾーンを占めており、出展費用は約60万円かかります。一方、FBCは同じインターマック内で開催されているものの、独自に運営しているため、出展費用は30万円からとなっています。これは出展企業にとって大きなコストメリットとなるでしょう。
▶ タイ製造業のトレンドは
製造業は世界的に厳しい状況が続いていますが、最近ではAI関連、特にデータセンターなどの分野はタイでも拡大傾向にあると思います。一方、タイでは電気自動車(EV)の普及が進んでいるものの、2024年にはBEV(バッテリー式電気自動車)の新規登録台数が微減し、ハイブリッド車(HEV)は昨対で約50%増と人気が高まっています。世界的にBEVの成長が一時的に鈍化し、HEVへのシフトが進む中で、今後の市場動向を注視していく必要があるでしょう。また、脱チャイナでタイに生産移管する企業や、EV関連を筆頭に中国系企業の進出もますます増えており、最近は「中国系企業の開拓」もキーワードの1つになっています。
▶ そうした中でのNCネットワークの役割は
市場環境が変化する中で、「自動車産業以外の分野に参入したい」「タイ企業や中国企業とも取引したい」といった相談が増えています。こうした日系企業の課題解決に対して、リアル(FBC)とWEB(工場検索サイト エミダス)のサービス改善を行っています。WEBマッチングとなる「工場検索サイト エミダス」では、様々な改善を通じてタイ語からの問合せが増加しています。リアル・WEBの両軸で皆さんのお手伝いができるよう、引き続きサービスの向上に努めてまいります。
▶ 日タイ企業の連携については
日タイ両国の企業が連携して新しい市場を開拓することは、双方にとって大きなメリットがあると考えています。タイサブコン協会と連携しているのも、そのためです。現在、タイ経済は必ずしも好調とは言えず、事業の方向性を模索するタイローカル企業も少なくありません。このような状況で成長を目指すためには、従来の市場だけでなく、新たな市場への進出も一つの重要な選択肢となるでしょう。しかし、タイのローカル企業には、そのための技術が不足しているところも多いのが現実です。こうした背景から、高い技術力を持つ日系企業との連携を求める声が増えています。
▶ 最後に、企業の皆さんにメッセージを
FBCアセアンは、もともと日系企業を中心に始まった商談会ですが、現在ではタイ、中国、インド、欧州の企業も参加する国際色豊かなマッチングイベントへと成長しています。昨年のオープニングイベントでは、当時のセター首相が激励のスピーチを行い、 タイの産業界だけでなく、政府関係者からも注目を集めました。
今年はFBCエリアを会場内のメインストリート沿いに確保できたことで、出展企業の皆様にはこれまで以上に多くの来場者と接点を持ち、商談のチャンスを広げていただけるようになりました。企業の皆様には、ぜひご期待いただきたいと思います。